俺と葉月の四十九日

覚悟と迷い

｢いい話聞いたね？圭ちゃん｣


ブル田んちからの帰り、安田は俺の隣を跳ねる様に着いて来ている。


聖矢さんの話だと、安田の足が消えるのは四十九日が近付いている兆候らしい。
安田自身もそれを受け入れているから、だそう。


受け入れてるんだ、安田は。

自分が死んでいる事はもちろん、あの世に行かなくてはいけない事も…全て理解しているんだ。


それでも安田は言った。


生まれてきて良かったと。



すげぇよ、安田…。

どうすればお前みたいになれる？


俺は…怖くて仕方ねぇ。

安田が居なくなる事が怖ぇ。

聖矢さんの話を聞いた今でも、不条理だと思っちまってる。


何で安田が死んだのか…。

安田の死は、受け入れる側にとってこそ必然？
けど…何を見極めればいいんだ。


意味を聞かれたら残酷だとしか言えねぇ。

安田を選んで死を与えたって奴がいたら、今すぐ殴りてぇ。


自分が不幸だとは思ってねぇ。
思ってねぇけど、何をすればいいのかわかんねぇ！
宿命とか言われてもわかんねぇ！


…確かに俺は、何にも理解してねぇよ。

理解できねぇよ。


理解したら諦めなきゃいけねぇだろ！