俺と葉月の四十九日
「圭ちゃん」

俺の前に回り込んで立つ安田。

深刻そうな瞳…。


「私、7日後には…ちゃんと上に逝くね」
「安田…」


驚く俺の前で、照れた様に安田は肩をすくめる。


「それが今の…ユーレイの私がやるべき事だもん…それにさ」
「何だ?」
「それに…ちゃんと昇天して修行すれば、また圭ちゃんに会えるかもしれないし」

「………」


会える?


また会えるのか?
信じてんのか?安田…。


見つめる俺の視線をそらす様に、安田は瞳を伏せた。

「だから…だから圭ちゃん…」

伝えにくそうな細い声…。


だけど、次に顔を上げた安田は笑っていた。

いつもの安田らしい…笑顔。


「だから圭ちゃん、頑張って自分の人生やり遂げて!」
「安……」
「私はもうやり遂げたから…先に逝く!…ちょっとだけ、先に逝くだけ。また会えるよね…会おうね!圭ちゃん」

強い口調…笑顔…締め付けられる…。


痛ぇ…痛ぇよ安田…。

何で受け入れられるんだ!
わかんねぇ、やっぱり俺にはわかんねぇよ!

自分の成長も宿命も、安田が先に逝っちまうのも…自分のワガママしかねぇよ、俺には。


なのに…安田は強い。
こんなに強い。
< 218 / 267 >

この作品をシェア

pagetop