俺と葉月の四十九日
しかし、つい数分前まで俺の隣で話にうなづいてた安田がいたのに、こいつら気付かねぇでメシ食ってたしな。

それで安田のユーレイの噂かよ?
何かウケる。


「安田のユーレイってドコに出るんだ?」


聞いてみた。
面白そうだ。
あいつがドコをフラフラしてんのかも知りてぇ。


「それがさ…」

村上は急に小声になる。
何で人って恐い話する時、不自然なくらいの小声になるんだ?

「教室の窓の前に立ってたり、自分の机に座ってたり、体育館で一人でバスケしてたり…」

一人バスケ…楽しいか?安田。


「後は…」

言いかけて、村上は俺を見た。
光もつられたのか見る。

「…何だよ?お前ら」
苦笑いの俺。

村上は小さなため息をついて、俺から顔を背けた。


「いや…もうやめようぜ、この話」

何だソレ?!

「言いかけてやめんな!気になるだろ」
「だって…ナァ?」
「話しづらいよな?」

だから何が…?

「いいから言えよ」
「マジ?」
「お前がフッた話だろ」

しょうがねぇなぁと、村上は肩をすくめた。

いや、こいつ面白がってる。
微妙に口元が笑いでほころんでるし。


「安田のユーレイ、三谷の後ろに見えるらしい」
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