俺と葉月の四十九日
……ブル田。


背の低さ、そして人目を気にしない怪しさ…あいつしかいねぇ。


「オイ、ブル田」

店の外から中を覗くブル田に声を掛けた。

コンビニ強盗と間違われるぞ?


声を掛けられたブル田は、硬直した様に一瞬動きを止めた。
それから、ロボットみたいな動きで右手を上げた。

「圭介じゃあないかぁ〜」

声裏返ってるし。
着てる服もサムエ?だし。


「何?」
「何とは何だ?」
聞き返しかよ!


ブル田が来た目的はわかる。

安田目当て。


「安田は…」
「ふわああぁっ!!」

居ないぞ、と言おうとした俺を、ブル田が変な叫びで妨害した。
耳を押さえてうづくまる。

「どうしたんだよっ」
俺まで変な目で見られる!


屈んだ姿勢のまま俺を見上げるブル田…涙目だ!


何?何なんだよ、こいつ。
扱いに困る!


「安田サンはどうしたのだ」
「…ソレ言うつもりだったけど?」

お前の妨害が無けりゃ。

「安田は夕方戻るぞ」
「居ないのか?」
「ああ、みんなにサヨナラ言いたいってさ」

そうかと呟き、ブル田は立ち上がる。
何?何かホッとしてね?


「僕は安田サンに会いに来たのだ」

言わなくてもわかるよ。
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