俺と葉月の四十九日
「だが……迷ってしまった」
「迷う?何で?」


思わず苦笑。
安田大好きのブル田が、安田に会いに来て何を迷うんだ?
いつも安田サ〜ンってなついて来るくせに。


「ブル田らしくねぇな、何考えてんだよ」
「明日は四十九日ではないか…」

舌打ちをし、ブル田は肩でため息をつく。

「会っておきたいと思う反面…怖い気もするのだ。昇天すれば、そう簡単にはこの世に降りては来られない。永い別れになるだろうからな」


そうか…ブル田も怖いのか。

だから迷って中を覗いていたのか。
こいつ、そういう事には慣れてると思ってたけどな…。


バツが悪そうにスネるブル田…怖い…俺と同じ。


「会ってけよ」
「そうは思うが…」
「会った方がいい。あと一時間でバイト終わりだし、安田はその頃戻る」


「………」
考え込むブル田。


「後悔しねぇ様に会いたいなら会え」


それは、俺に言った言葉でもあった。


俺は後悔してばかりだ。
安田が生きてた頃から何もしていなかった…そんな自分を後悔してばかりだ。

なら、せめてブル田には、後悔が無い様にしてやりてぇ。

素直になりゃ、後悔なんてしなくて済む。


俺には今更無理だ。
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