俺と葉月の四十九日
後悔ばっかで、無力さを思い知るだけだ。


「後悔…」

噛み砕く様に言い、ブル田は頭を掻いた。

煮え切らねぇ奴。
俺もブル田の事言えねぇけど。

こうなったら奥の手?


「ブル田、俺店番中なんだ。とりあえず店に入れ」
店長に見つかるとやべえし。
「圭介に指図されたくない」

意地っ張り。


「アイスおごってやるから」
「ならば仕方がないな」


ほら、即答だよ。


重い足取りで店内に入ったブル田は、遠慮無く高いアイスを選んでくれた。

カウンターの隣、貸してやった椅子に座り、もそもそとアイスを頬張っている。

安田が見たら絶対笑われる光景だな。


「…ブル田ぁ」
「何だ」

声掛けに、ブル田はぶっきらぼうに返答した。
最初はムカついたけど、今は、それがブル田って感じ。


「俺、物心ついた時には安田が幼なじみとしてそばに居たんだ」
「ああ、知っている」
「ずっと一緒でさ、うるさいって思う時があるくらい近くに居て…それが当たり前だと思ってたよ。大人になっても変わらねぇって」


信じて疑ってさえいなかった。


「けど、安田が死んじまって…変わらないと思っていた事が、これから変化してくんだよな…」
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