俺と葉月の四十九日
本堂の掃除から庭掃きまで、朝5時に住職であるブル田の母親がお経を始めるまでに綺麗にするらしい。

さすがお寺、厳しい。

すでにガキの頃からの習慣になっていると言う。

それを聞いた俺は、信じられねぇと思うと同時に、ブル田が馬鹿みてぇに早起きの意味を知った。


ブル田の朝メール、いつも時間5時だし…。
しかも安田の事ばっか!

それに付き合ってる俺も、たいしたもんだよ。


「本当は、今日の雑巾掛けはニセ坊主の当番だったのだ」

ニセ…ああ、聖矢さんか。

「なのにあいつは、昼間から友人と共に飲みに行ってしまった!」

さすが聖矢さん。


ぶつぶつと、お経の様に文句を唱えるブル田。

話を聞くと、ブル田は兄である聖矢さんには逆らえないらしい。

…怖くて。


逆らうと蹴飛ばされ、あのチンピラ口調で脅されるらしい。

それに関しては同情しかない。

あの兄は怖ぇよ。
有無を言わせない迫力があるんだよなぁ。

自信家だし。


あれがお坊さんになるとは…恐ろしい限りだ。


マオちゃんが言う破戒僧は間違いない?

魔物を使役する方が似合いそうだしな。
魔物も、聖矢さん怖さに従うだろうよ。
< 232 / 267 >

この作品をシェア

pagetop