俺と葉月の四十九日
「………」


ブル田は驚いたのだろう。
大きな目を更に大きく開いて安田を見上げる。


俺も……。

素直にすげぇなって思えた。


大人から見れば、不安になる様な発言かもしれない。

でも、俺達はまだ選べる。

大人と違い、進みたい方向を決める事ができる可能性…希望がたくさんあるんだ。

どうしようかって迷うくらいあるんだ。

俺もブル田も。


「私は、二人には思う様に…後悔しない様に生きてほしい。頑張ってほしい」

安田は笑いながら語る。


「可能性を目一杯に使って、楽しんで生きてほしい。その為なら何でもするよ?天国に神様が居たら頼んじゃう!」

「…安田」
「もしも二人が、やさぐれたオッサンや疲れ果てたオッサンになって死んで来たら、私は口聞いてやらないよ?シカトするよ?それが嫌なら頑張って!」


安田…お前……。


「ううっ…安田サ〜ン…」
「っな…ブル田!泣くな!」

俺も泣きたくなるだろっ!!
先に泣かれたら、俺…泣けねぇじゃねぇか。

安田も安田だ。

何でそんな事言ってくれるんだよ!


「…バカ安田」
「ちょっ!?バカって何っ!」

だってバカだろ、お前。

人の心配ばっか…。
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