俺と葉月の四十九日
辛い…と。


…俺は、どうすればいいのかわかんねぇ。
でも、安田一人にそれを待たせるのは嫌だ。


俺が立ち会う理由はそれだけ。


最後まで、安田を一人にはしたくない。

幼なじみなんだ。


思って笑った。

幼なじみ…それしか言えねぇよな。

そう自分で決めたんだ。



「ねぇ、圭ちゃん」

チャリの後ろに乗る安田が呼んだ。

「何だ?」
「寄り道してもらっていい?」
「寄り道?」
「うん、そこに寄って」

そう言って安田が差したのは中学校。

俺と安田が通った学校。


チャリを校門前に停め、安田を振り返る。


「…学校?」
「圭ちゃんと行きたいの」

俺と?

疑問顔の俺に、安田は笑う。

「言ったでしょ?思い出巡りしてるって」

聞いたけど…。


「俺とって何?」

安田はチャリから降り、校門前に立つ。
それから俺を振り返り、また笑った。


「ここは、圭ちゃんとの思い出があるの…ううん、伝えたい事かな」

伝えたい事?


「俺に?」


安田は強くうなづきを返した。


伝えたい事、安田が俺に……何だ?

そんな事言われても、言いたい事を言われてた気がするけどなぁ。

何かあったか?
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