俺と葉月の四十九日
四十九日
8月26日、夏休み最終日。


…四十九日。


外は朝から雨。

じとじとと降ってくる雨粒がアスファルト上で弾かれるのを窓から眺めながら、俺は部屋でぼんやりとしていた。

隣では、朝から安田とブル田が人生ゲームで遊んでいる。
安田作のゲームだ。


「イェーイ!ブル田のコマが歌を歌うに止まりましたぁ!」
「歌ですかぁ?何を歌えばいいですか?」

歌うつもり?

「何でもいいよ?歌なら」
俺の時はモー娘限定だったくせに。

「では…お尻かじり虫を」
?!何で?!


咳ばらいをするブル田…マジで歌ってる。
お尻かじり虫。
しかも自分で音声変換して。


何なんだ、こいつら。
朝から人生ゲームで盛り上がりやがって。


ため息が出る。


今日は四十九日だぞ?
安田が昇天するんだぞ?
いつ昇天すんだかもわかんねぇのに。


ブル田にも、安田自身にもわからないらしい。

ブル田は安田に昇天の説明をしていたが。


「その時には光が見えます。そして包まれていきます。それに逆らわず、ただ身を任せていれば大丈夫です」

光るのはわかる。
拓海が消えた時がそうだった。


安田も、あんな風に消えていくんだ。
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