俺と葉月の四十九日
ブル田を見送りに外へ出た。

朝から降っていた雨は止み、空には薄い夕焼けの名残があった。


何となく、三人で空を見上げた。

その夕焼けは儚くて、なぜか儚くて…夏休みの終わりと、安田と過ごす日常の終わりを教えられてる様に感じた。


日が沈む様に、朝がくれば夜がくるように…人間も生まれれば死がある。
なのに俺は、安田との日々が続くと思ってしまってた。


続く事なんて、無い。


だからこそ、今を精一杯に生きなきゃならない。

隣で夕焼けを見上げる安田に視線を向けた。
気付いた安田は俺を見つめ返し…笑った。


安田が笑う。

それだけで嬉しいと俺は思っていた。


安田が笑えば、俺も笑う。
俺が笑えば、安田も笑う。

そうして…今まで一緒にいた。


「では…安田サン」

ブル田は安田の前に立ち、ぺこりと頭を下げた。

「うん、またね」
「はい…また会いましょう。お気を付けて」
再び頭を下げた。

背を向ける直前、俺を見てうなづいて…。


夜が迫ってきた空へと帰って行くブル田。

「ブル田ぁ!」
安田が叫んだ。

ブル田はゆっくりと振り向く。

「楽しかった!」

手を振る安田は笑ってた。
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