俺と葉月の四十九日
お前がワガママ言わねぇと、俺は色々考えちまう。
考えたくねぇ事で頭がいっぱいになっちまう。


お前に振り回されていたいよ…お前のワガママに振り回されてぇ。

花火なんて、すぐ終わっちまう。



「最後の一本だね」
「ああ……」

花火はすでに、残り一本になっていた。


安田の…最後のお願い…。


俺は最後の一本に火を着けた。

暗闇をほんのり照らす小さな火はなぜか愛しくて…今までで一番綺麗な花火だと思った。

その雫が地面に落ちる。

濡れた地面に落ちた火は、ジュッと音を立ててあっという間に消えた。


「終わっちゃった…」

安田が、つまらなそうに呟いた。


俺は無言のまま、手に残る花火の芯を握り締めた。
手の平から、微かに残る火の熱さが伝わってきた。

安田は立ち上がり、俺の隣へと座った。
夜空を見上げてる。


「迎え…いつなんだろ」

ねぇ?と首を傾げて聞いてくる安田に、俺は返答できなかった。


迎えなんて来なけりゃいい。

漠然と思った。


月を見上げる安田。
身体はかなり透けていて、今にも消えてしまいそうだ。

安田の存在が透けていく様で…。


切ない。

悲しい。
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