俺と葉月の四十九日
まるで繰り上がりされるみたいに、葉月の存在を消す様に。

当然の様に消えた机。


何であいつを消すんだよ。

切ない事すんだよ。

やってる事が残酷すぎるだろ。


追い詰められてるみてぇ。
後悔ばっかの俺を追い詰めてるみてぇだ。


唇を噛み締めた。
握った拳に力が入る。


「圭介…」
いさめるかの様なブル田の声。


わかってる、俺にだって。

立ち止まってはいられねぇってわかってるよ。


でも悔しい…悔しいんだ。
涙が出そうだ…。



うつむく俺のポケットで、携帯が鳴った。

…うるせぇ。

うつむいたまま携帯を取り出した。

あれ………。

携帯のサブ画面、表示された受信相手…。

嘘だろ?



表示されていた文字。
“安田葉月”



何で葉月の名前が…。


慌てて携帯を開き、受信を確認する。

そのメールは、ちゃんと葉月のメールフォルダに入っていた。


何で今…葉月から…。


送信時間は、8月26日22時……。


携帯を操作する指が震えた。
その時間は、葉月が消えたくらいの時間…。


目を疑った。

まさか…嘘だろ。

葉月からのメールなんてくるわけない。
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