俺と葉月の四十九日
震える指でメールを開く。


安田葉月…。




短い文章だった。

あまりに短くて…短すぎて…。




「こんなの…有りかよ…」

俺は笑った。


笑いながら、涙が込み上げてくるのを感じていた。



バっカじゃねぇの?


そのメールは多分、消える間際に葉月の唇が語った言葉かもしれない。







“ずっと好きだったよ、圭ちゃん”







何だよ、あいつ…。

何回俺を泣かせりゃ気が済むんだよ。




葉月…お前もわかってたんだ?


別れなきゃならない運命で、この言葉がどれほどお互いに重い言葉か、知ってたんだよな?


だからお前、笑ったんだろ。

笑いながら消えたんだろ。


だからバカなんだよ、お前は。


バカなんだよ、俺達…。




不器用すぎなんだよ。






覚えておけよ、葉月。

俺は、お前を忘れてなんてやらねぇ。


苦しくても悲しくても、絶対に忘れてなんてやらねぇ。




好きだった、なんて過去にはしねぇ。


お前が好きだって、ずっと特別だって…そうして今を生きてやる。


それが喜びに、誇りになる様に。


これからを生きてやる。
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