俺と葉月の四十九日
エピローグ
8月26日。

今年もその日は暑く、じりじりとアスファルトを焼く熱気が顔まで沸き上がってくるくらい暑くて。
思わず俺は日影に逃げ込む。


俺は親友と待ち合わせをしていた。

駅の入口。

親友であるそいつは、仕事が終わってから特急列車でここに来ると言っていた。

携帯で時間をチェックする。
そろそろ着くはずだ。



15分後、親友はやって来た。
昔と変わらない姿で。

いや、服のセンスは変わったか。


「元気そうだな、圭介」

笑うそいつの胸を軽く拳で叩き、俺も笑う。


「お前もな、ブル田」



あれから、10年の年月が過ぎた。

俺とブル田は27歳になった。



ブル田はあれから専門学校へ進学し、声優になった。

結構人気があり、仕事も順調らしい。

TVでブル田の声を聞くたび、頑張ってるんだと励まされる。


「圭介、仕事はどうだ?刑事課は慣れたか?」

俺は大学へ進学し、その後刑事になった。

「まぁ忙しいな」
「マオちゃんは一緒には来なかったのか?」
「今日は暑いし、実家に寄ったら母さんに、マオは置いて行けって言われてさ。待たせてる」


俺は1年前、ブル田の妹の万桜と結婚した。
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