俺と葉月の四十九日
名前なら10年前から決まってる。


「女の子なら葉月」
「葉月…」

ブル田は数回瞬きをした。


「三谷葉月、いい名前じゃね?」


ブル田は笑った。


「ああ、いい名……ぶおうっ!!」
「おいっ?!」


笑ったと思ったブル田は、突然前へと勢いよく倒れた!

ガードレールに額をぶつけてる。

何だっ?!


「てめぇら、何してんだ?」

このガラの悪いチンピラ口調…。

額を押さえてうづくまるブル田をかばいつつ、俺は恐る恐る振り返った。


……やっぱり!

立っていたのはブル田の兄、聖矢さん。
相変わらずの茶髪に長髪。

俺の義理の兄なんだよなぁ。

ブル田も義兄だけど。

「男二人でよ、見てっと暑苦しい」

そんな理由で蹴飛ばしたのか!

しかも服…坊主だ!袈裟姿!
そっちの方が見ていて暑苦しいんですが?


「聖矢兄さん…なぜこんな所に」

額を赤く腫れ上がらせ、ブル田は迷惑そうに聞いている。

しかし、それを上回る気迫で聖矢さんは舌打ち。


「はぁ?法事の帰りに決まってんだろ?」

…決まってんだ?

「このカッコ暑いんだよ」

それ、俺達のせいっすか?

「茶ぁでもおごれや」

恐喝?!
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