俺と葉月の四十九日
「この世の全ての物質にはエネルギーがある。波動、またはオーラとも区別されるが」


それが?


「そのエネルギーが少し分離されただけの事だ」


………?わかんねぇ?


「僕が安田サンへと名指しでプリンを渡す。名指しが重要ポイントだ。アンダーラインを引いておけ」


テスト?


「名指しから、安田サンにこのプリンは自分に与えられた物だという意思が働く。その連動により、プリンが霊体である安田サンへと届く」


え―…っと…??


「つまり、安田サンの目の前にあるプリンは人間に食せる次元の物ではない。実体化がない。物体として成り立っている物では既にないからだ」


つまりコレは…その…。


「プリンのユーレイ?」
「ボキャブラリーの無い男だ」

ここでソレを求めんのか、お前は。



「仏壇に供物を差し上げるだろう?だが供物という物体を、先祖が直接食す訳ではない。物体としての供物は、人間が食すか、腐敗しない限り形を崩さない」


ウン、確かに。


「だが、供物は先祖に届いている。差し上げたい思いが先祖に届けば、エネルギーと共に届くのだ」


そういやガキの頃、ばぁちゃんが仏壇からバナナくれたな。
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