俺と葉月の四十九日
死んだじぃちゃん?
突っ込み?
そんなコメディーが?


「俺、夢見てんのか?」
「夢じゃないよ!私、死んでユーレイになっちゃったの!圭ちゃんお葬式に行って来たんでしょ?現実見てよ」


行って来たから余計に信じられねぇんだろうが。
大体、俺には霊感なんてねぇし。


安田を見た。

安田はうつむいて何かを蹴る様に、黒のハイソックスをはいた脚を動かしてる。

棒みたいに細い脚。


ふと、ハードルを飛んでいる安田の姿を思い出した。
綺麗に伸びた、長くて白い脚…。



「圭ちゃん、泣いた?」

突然、安田の顔が目の前に迫って焦った。

近いし!
微妙に向こう側透けてるし。

…ユーレイだもんな。


「うるせぇ、泣いてねぇよ」
「嘘!目ぇ赤いよ?」
「コレはアレルギー」
何ソレ?と、安田は頬を膨らませた。

「訳わかんない」

俺もわかんねぇ…この事態が。


いや、ちょっと冷静になってみろ俺。

安田は死んだんだ。
それは現実だ。
信じられねぇとか言ってる場合じゃねぇ。
事実、ユーレイになって目の前に居る。


…待てよ?
何で居る?

人って死んだらあの世に行くよな?
子供でも知ってる事じゃね?
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