俺と葉月の四十九日
ブル田は焦っていた。

あまり普通に友達と遊ぶのに慣れていない様子だった。

別にこれから慣れていけばいいだけの話だ。
あいつはリアルワールドに戻った方がいい。
顔はかわいいんだから、年上とかにモテそうなんだけどなぁ。

あ…海…スクール水着禁止と念を押しておかないと!…危ねぇ危ねぇ。


「圭ちゃん!アレ!アレ見て!」
「あ?」


呼ばれて顔を上げた。

安田の指す方向には、炎の様に赤い夕焼けがあった。

「おぉ…何かスゲェな」

思わず声が出た。
帯状に細く伸びた雲が幾重にも重なり、朱色のグラデーションになっている。


沈みかけた太陽の自己主張。

まるで、沈む事を惜しんでいるかの様だ。


「この夕焼けって、夏って感じだね」
「ホントだな」

夏特有の、真っ赤な空景色。


「明後日から夏休みだね。圭ちゃん」
安田はワクワクしてる。

「そうだな」
「いっぱい遊ばなきゃ」

そう言って笑う。


安田はホントに、何にも変わらないんだな。


死んでユーレイになってるのに、楽しそうに笑って、はしゃいで、わがままで。


何にも変わらねぇ。

ただ身体が、肉体がねぇってだけで……何も変わらねぇ。
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