俺と葉月の四十九日
淋しくねぇのか?
不安じゃねぇのか?


安田……。



安田は昔から強かった。


俺には、こいつの強さが理解できなかった。
憧れさえ抱いた事すらある。


今も、これからもだろうな。



「圭ちゃん」
「何だ?」
「私、アイス食べたいな。ハーゲンダッツのクッキー入ってるやつ」


思わず笑った。
ホントに、こいつは…。


「コンビニ寄ってくか」
「やったぁ!」

嬉しそうに笑う。
たかがアイスくらいで。


それが今の俺にしてやれる事なら、いくらでも買ってやるよ。



安田は幼なじみで、ガキの頃から一緒にいた。


隣に居て、話して笑って怒ってスネて…それがフツウだった。


日常の一部だった。

いなくなるとか考えた事もなかった。

今も……日常の延長としか思えねぇ。


ユーレイだって頭ではわかってんのに、こいつがあまりにも自然だからわからなくなる。



不安なのは…俺の方なのか?


こいつがいなくなる事を考えられねぇ、俺の方か?



よくわかんねぇ。




ただ確かなのは…今も安田が居る事を、当たり前だと思っている事だ。
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