俺と葉月の四十九日
安田という奴は
夏休みが始まっても、俺はのん気に毎日遊んでいる訳にはいかない。

バイトだ、コンビニの。


高校生が働ける時間には限界があるが、それでも長時間できる休み中のバイトは稼ぎ時でもある。

俺もフツウの高校生だ。
欲しい物はある。

それに、クーラーの無い自分の部屋と違い、涼しい店内は天国。
飯も出る。


俺がバイトの間は、安田はその辺をフラフラしている。

時々店内を見回っていたりするが、気付くといなくなっている。
そして、バイトの上がり時間近くになるとフラリと戻って来る。

聞いてみると、まぁ…テキトーに遊んでいるらしい。
いや、遊び?


ゲームセンターをのぞいてUFOキャッチャーのキャッチ妨害をしたり、本屋をのぞいたり、見えないのを良い事に、並んで座っているカップルの間に座ってみたり、誰かの立ち話に勝手に混ざって聞き耳立てていたり…夜に食い込む時間の時は、駅前のストリートライヴを聞いたり、居酒屋でサラリーマンのおっさんの愚痴に聞き耳立てていたり…。


俺から見れば、高い確率で無駄時間の部類に入る。

楽しいのか?と聞くと、安田は迷わずにウン!と笑って答える。



マジ変な女。
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