俺と葉月の四十九日
そんなこんなでバイトをしてるうちに、夏休みも一週間過ぎた。

あっという間。


昼時も過ぎた暇な時間、俺はカウンターで雑誌を見ながら店番していた。


あ〜…暇だ。


こういう時に安田がいれば話し相手になるのにな。
タイミング悪いんだよなぁ、あいつ。
色んな意味で。

またゲーセンにでも行ってんのか?


「ぁ…いらっしゃいませぇ」

自動ドアが開く音に、俺は顔を上げた。
入って来たのは若い女。

…って、アレ?

「…国立じゃん」

国立千秋。先月別れた元カノ。


「こんにちわ…」
国立は声だけを俺に向けた。

うつむいたままドリンクコーナーへと行く。


何だ?
別れてから全然来なかったのに。

いっか、ただの買物だろ。


国立とは、告られて半年くらい付き合った。

国立自身に不満があった訳じゃないが、別れたのは俺から。


何となく。

国立には、マンネリが嫌だってカッコつけて言った。さすがに何となく別れたい…とは言えねぇ。


そういや安田に、国立と別れた理由についてさんざん言われたんだ。

訳わかんねぇってイライラしたくせに、未だに理由聞いてねぇじゃん、俺。

何してんだ?
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