俺と葉月の四十九日
「お願いします」

雑誌を読んでた俺の前に、国立はポカリのボトルとチョコレートとアイスを並べて置いた。

顔はうつむいたままだ。

何?…気まずいの?
だったら来なきゃいいのに。

こういうのって、どっちかが気まずい対応すると伝染するよな。
嫌な空気が。

まぁ…別にいいけど。


とりあえず俺は、レジを打って商品を袋に入れた。
仕事だし。


「630円」

金を受け取って、袋を差し出した。
国立は、袋の持ち手に指を引っ掛ける。


「三谷先輩」
あ、声かけてきた。

「何?」
「私、彼氏できた」

国立は、ポツンと呟く様に報告してきた。
独り言かと思った。

「そっか、良かったな」

フツウに返答した。

だって、彼氏できたって聞いても嫉妬とかねぇし。

むしろ、何で俺に教えてくれんの?って思った。


別れた彼女が誰と付き合っても、俺には何のコメントは無い。
良かったな、と思うだけ。

安田が言うには、俺は勝手な理由で別れたんだろうし、言う資格も無い。


国立は国立、俺は俺。

国立にとっては、新しい彼氏に幸せにしてもらうのが1番いいんじゃない?と思う。


「…先輩って…そういう人だよね」
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