俺と葉月の四十九日
国立は、袋を持った手を振り回している。

「買い物済んだろ?帰れば?」

国立は意地悪な笑みを浮かべた。
こいつ…こんな顔するんだ?


「先輩の噂、聞いたの」
「ウワサ?」

何?
噂される様な事してねぇよ。


「先輩、安田葉月に取り憑かれてるんだって?」
「はぁ?」

何だソレ?

憑かれてるって何?
憑かれてるんだって?とか聞かれてもさぁ…。

おかしくね?


「憑かれてねぇよ」

一緒には居るけど。


あいつほどマイペースで無害なユーレイはいねぇと思う。
つか、憑かれてると噂されているらしい俺本人に有無を聞いてくる国立の方が有害じゃね?


「噂だか何だか知らねぇけど、それが国立にとって何?」
「だってさ、先輩と付き合ってたら私まで憑かれてたかもしれないじゃない?呪われるの嫌だし、別れて良かったなって」

「……あぁ?」


……安田が、呪う?


んな訳ねぇ!何言ってんの?

大体アイツ、呪い方すら知らねぇって暴露してんぞ?
そこまで深く考える様な奴じゃねぇし、国立を呪う理由すらねぇだろ?!


「…やめろ」
「何が?」

国立は笑ってる。
何か…すげぇ腹立つ!!


「…あいつの悪口言うな」
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