俺と葉月の四十九日
俺には安田の気配くらいしかわかんねぇけど。
さすが寺の息子だな。


「だが、油断はするな」

ブル田は立ち上がった。


あれ?もう帰るのか?
別に止めはしないけど。

つか、今更考える俺もおかしいかもしれねぇけど…ブル田、何しにここへ来たんだ?



「圭ちゃん、圭ちゃん」

安田が手招きをして俺を呼んだ。
身体を傾けた俺に、そっと耳打ちしてくる。


「ブル田ね、圭ちゃんの周りに変なの憑いてないかって見に来てくれたんだよ?ホントは」


ハ?ブル田が?

安田に誘われて来ただけじゃなくて?


「声掛けたのは私だけどさ、心配してたよ?そういうのがいると、私も圭ちゃんも危険だからって」

「へぇ…そうなのか」


…何だよ。

そうならそうと、言えばいいじゃねぇか。
こいつ素直じゃねぇしな。

ブル田って肝心な事言わねぇで変な意地張るから、誤解されちまうんじゃねぇかな?
ま、変な奴に変わりはねぇけど。


いいヤツだと、俺は思う。

それに、ユーレイなんて安田が初めての俺は、マジで何もわかんねぇ。

正直、ブル田がいて教えてくれると助かる。
ブル田以外にユーレイの相談できる奴、他にいねぇし。
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