俺と葉月の四十九日
考えてみれば、安田がユーレイになって現れたりしなかったら、ブル田と話す機会なんて無かったかもしれねぇ。

他の奴と同調して、ただの変な奴って避けてたかもしれねぇ。


…損してたかもしれねぇ。

人は、話してみねぇとわかんねぇもんだな。


人との出会いが必然だってんなら、ブル田と俺がこうしているのも必然じゃねぇかな?

いや、深くは考えてねぇ。

ブル田はいい奴だと思う。
なら、友達もいいと思う。

「おいブル。何か言えよ」

ブル田は赤面したまま、ドアノブを回して戻してを繰り返している。
挙動不審…。


「…帰る」
「は?」
「またな、圭介!」


圭介?


ブル田は赤面したまま、吐き捨てる様に言った。
何かに追われているのか、挙動不審のまま慌てて出て行ってしまった。

何だぁ?あいつ。

「素直じゃないね、ブル田」

安田は笑いながら言った。
ホントだよ。


「はい、圭ちゃん」
「何?」

安田が、テーブル上のプリンを俺の前へと移動させてきた。
ブル田の持ち込み。
マジで何個持ってきたんだ?

「ブル田の奴食い忘れたのか」
違うよと安田は首を振った。

「圭ちゃんの分」
「俺?」

俺の分?
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