俺と葉月の四十九日
寝癖のついた頭を掻き回しあくびをした。


…眠い。


「夏は暑いに決まってるでしょ」
お前もな、いつも熱いよな?

ユーレイってもっとこう…寒々しいもんじゃね?
冷却効果すら期待できねぇユーレイだ、マジで。


「圭ちゃん、今日は何の日?」

…みのもんた?
期待ミエミエ。

そしてコレ!
枕元にさりげなく(?)置かれている映画のチラシ。
俺は知らねぇぞ、こんなの。


つーことは、こいつしかいねぇな?


俺はしぶしぶチラシを手に取った。
何?邦画?


「ソレ!その映画、すっごいいい話らしいよ〜!」

ここぞとばかりのプッシュ。白々しすぎる!
行きたいのか?観たいのか?
ユーレイさんよ!


「その映画、圭ちゃんの好きな長澤まさみが出てるんだよ?」
「マジ?!長澤大好き―――!…って違う!」


一人でボケ突っ込みしつつ、チラシを丸めて壁へと投げた。


何?何なの?こいつ!

「お前誕生日だからってテンション高すぎだよっ!」
「覚えてんじゃない。今日は何の日」

安田は笑った。
嬉しそうだ…。


別に俺は安田の誕生日を無視しようってんじゃない。
ただ、バイト休みの時くらい寝坊させてくれよ。
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