俺と葉月の四十九日
幼なじみ
「圭ちゃん!圭ちゃ〜ん」


……んあ?


「起きてよ〜」


やだ。


「早く起きないと遅刻するよ?」

チコク?


俺はベッドの中から手だけを伸ばし、枕元にある目覚まし時計を取った。

重い瞼の隙間に飛び込んできた数字と同時に、頭の中に響いた安田のからかい口調。


「午前8時20分〜」
「うわあぁぁ!!」


跳び起きた。

マジ?!
遅刻じゃねぇか!


「何で早く起こさねぇんだ!言ったろ―!?」
「何度も起こしましたぁ」

文句言わないでよとブツブツ言いながら、安田は窓を指差す。

すると、糸で引かれる様にスルスルとカーテンが開いた。

同時に部屋中に飛び込んでくる、夏の熱気をまとった朝の光。


ポルターガイストと言うのだろうか?
安田が動かそうと思うと、物が動くらしい。
とてつもなく便利だ。

どうせなら瞬間移動とかもできりゃいいのにっ!くそ!


舌打ちをして、わたわたと着替えを始める俺。
マジで遅刻する!

「廊下で待ってるからね」

言って、安田は閉じているドアを通り抜けて出て行った。


同居を始めた昨日、着替えの時は部屋を出ている事を条件とした。
でないと安田はうるさい。
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