俺と葉月の四十九日
タクミは笑った。
淋しそうな切なそうな、大人びた表情の儚い笑顔。


…子供って、こんな顔すんのか?


安田はそんなタクミを、じっと見つめている。
すげぇ真剣な、深刻な瞳で。


何?どうした?この二人…。
雰囲気おかしくね?


「タクミくん」


安田が立ち上がった。
そして、タクミに笑いかける。


「葉月ちゃん、またね」
「うん、またね」


またね?

「ケロリン」
タクミの視線が俺へと向いた。


「何だ?」
「…ありがとう」


大きな瞳を細めて、タクミは…幸せそうに笑った。
次の瞬間、目を開けていられないくらいの光の渦が、タクミの身体を包み込んだ。


「?!何?!」

思わず目を塞いだ。
眩しすぎて直視できねぇ!


「っ安田?!」


手で光を遮りつつ、安田を見た。


安田は、直立不動で立っていた。
瞬きもせず、じっと光を見つめている。


何?!…何が起きてるんだよ!!





…数秒後、光は吹き消された様に消えた。

タクミの姿は…そこには無かった。


「タクミ…タクミは?!」
「行ったよ」
「どこに!!」


訳わかんねぇ!
今の何?!

タクミはドコに行ったってんだよ!!
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