Vanilla Essence
紗由美と珠希は、弥生に半ば強制的に引き摺られるようにして、カラオケの前へと来た、
「何で、カラオケ…?」
キョトンとして、紗由美は訊いた。今日は合コンだと言ってたのではないか…そう思ったからだ。
「ここで合コンするんだよ―♪」
至極楽しそうに、弥生は言った。
そんな弥生とか対照的に、珠希の表情がだんだんと引きつっていく。
珠希は、極度の音痴だからだ。目を泳がせているところを見ると、逃げる理由でも考えているのだろう。
どうせ見つからないことは分かっているのだけど………
「行こ行こ!!今日の相手は男子校の人なんだよ!!」
え、それ危なくない?
そう思ったのも遅くて、弥生に背中を押されて中に入ってしまった。