Vanilla Essence
昼休み―――
昂があまりの眠たさに机に突っ伏していると、背中に異常な体重がかかった。
おかげで、目が覚めてしまう。この時の昂は、すこぶる機嫌が悪かった。
「…んだよ、大貴」
睡眠を邪魔した張本人――大貴に声をかける。
「頼み事があるんだよね―「無理」
大貴に最後まで言わせず、昂は全力で否定した。どうせ、最後まで聞かなくても話は分かっているのだから。
「どうせ合コンだろ?」
「それが違うんだよな―!!」
自分が言ったことに大貴が笑って否定の言葉を入れてきたため、昂は純粋に驚いてしまった。
そんな昂の表情を見て、大貴が妖しい笑みを浮かべていたのには、昂は気付かなかった。
「カラオケ行こうぜ!!」
「カラオケ?別にいいけど…」
あそこで、なんとしてでも否定しておけばよかったんだ。