Vanilla Essence



匂いのもとを辿ってみる。その匂いの原因は、昂の舐めている飴だった。


「…あ、め……?」


思わず、口に出して言う。紗由美の隣に座っていた昂は、紗由美の方に視線だけを向けた。

昂の目に映っている紗由美は、キョトンとしていることだろう。



「…………何?」


少し冷たく、低い声で昂は言う。




「この前すれ違った人と、同じ匂い」


紗由美は、正直な感想を口に出していた。何でこんなことを関係ない人に言っているのだろうと思いながら。

昂は、口を挟むこともせずに紗由美の話を聞いている。



その話を全て聞き終わった昂は、微笑した。



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