Vanilla Essence




ベッドに背中を預けて、目を隠すように腕を顔に乗せる。




「ったく…あいつのせいで、思い出したくないこと思い出した…」



そのまま、ぼそりと(「ぼそり」なんて可愛いものではないが)呟いた。
その言葉は、誰にも届くことはなく、昂の耳にだけ届いて儚く消える。



今、脳裏にはあの光景が浮かんでいた。
忘れたいのに忘れられない、忌々しい記憶たち。


それはとても、



イ ヤ ナ オ モ イ デ ...




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