Vanilla Essence
早朝に再会
朝、学校までの道を珠希と歩く。すると、誰かに声をかけられた。
「あ、紗由美ちゃんと珠希ちゃん」
その声の主は男で、紗由美はビクッと肩を揺らす。恐る恐る振り向くと、そこには昨日会ったばかりの拓巳と昂がいた。
知らない人ではなかったので、紗由美は胸を撫でおろしている。
「おはよ!!」
拓巳は笑顔で挨拶したのだが、隣にいる昂は、相変わらず仏頂面をぶら下げていた。
そんな昂の脇腹を、拓巳はつついて「挨拶!!」とあくまでも小声で言った。
もっとも、小声で言おうと努めていたわりには、紗由美と珠希にはっきりと聞こえていたのだが。