Vanilla Essence



そう、思っていると突然、視界が真っ暗になった。


「だ―れだ!!」


その直後に、少し特徴のある高い声が、ソプラノの声が、紗由美の鼓膜を震わせる。
その手を掴んで、目から離した。一気に視界が広がって、眩しさのあまり目を閉じてしまいそうになる。



「もう、何すんのよ弥生」


そう言ってイタズラを仕掛けた張本人である弥生を見ると、「バレた―?」なんて言いながらへらへらと笑っていた。
幸せそうなオーラを全開にして、にこにこと笑う。
どうやら、大貴と上手くいったようだった。


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