Vanilla Essence
だいぶ、気持ち悪さもなくなり、落ち着きも取り戻した。
「で、どうしたの」
「大貴と付き合うことに決まったんだよ―!!」
大体、予想していた言葉だった。それ故、さほど驚くこともしない。
横目で見ながら「あっそ」と冷たく言い放ち、窓の外を見た。
視界には映っていないけれど、弥生が頬を膨らませているだろうということが、窺えた。
「幸せ、だね」
そう、弥生を見ながら微笑して言うと、弥生は「うん」と、顔を綻ばせた。
弥生がムカつくんじゃなくて、弥生を取られたみたいで大貴に腹を立てたことはこの際、内緒にしようと、紗由美は心に思った。