Vanilla Essence
「あの、さ」
「私たちのこと、忘れてない…よね?」
本当に申し訳なさそうに、巧巳と珠希が入ってきた。「ごめんね」と紗由美が微笑して言うと、「仕方ないから許してあげる」と、珠希も笑う。
「仲、いいんだね」
珠希がそう、紗由美に耳打ちした。その時の表情といえば、新しいネタを見つけたというか、何かを企んだ時のそれ。
「そんなことないもん!!」と、紗由美は少し声を荒げて言ったのだが、なんとなく、紗由美の心の中で変化が起きていた。