Vanilla Essence
この日は会えなかった。
紗由美の気持ちは、下がっていくばかり。
『好き』だと自覚すると、だんだん気持ちは膨れ上がっていった。
恋なんて、そんなものだ。
彼に会えない。
だから、寂しい………
話すだけ。
それだけで、嬉しい………
彼の言動で一喜一憂する。
久しぶりすぎる感情の感覚に、紗由美は戸惑いつつあった。
――――この気持ちは、誰にも言わないでおこう。
そう、紗由美は決意した。
儚く、淡い、決意。
――――だって、もう、城田君に裏切られたくないんだもん…