10年彼女
いつもの桜の木の下。

いつも通りに桜を見上げる。

ふと横を見ると、先客が居たみたいだ。

俺は全く気づかなかったので、少し驚いた。

でも気にせず桜を見ていたら、隣の人が話し掛けてきた。

「あの…大丈夫ですか?」

その女は、珍しく、きゃあきゃあ騒いでいなかったが、意味不明なことを言っていた。

「はい…?」

俺が聞き返すと、

彼女は顔を赤くし、

「いえっっ!……辛そうな顔をしていたので…。」

そう言い、俺の手に飴を1粒、乗せた。

彼女は、「どうぞ。」と言い笑顔で去っていった。



この出逢いが味気のなかった俺の人生を変えたんだ。


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