10年彼女
「ん?

これのこと?」

笑顔で紙切れを鞄から取り出す。

――その手つきは驚くほど綺麗で


 その笑顔は恐ろしいほど妖艶だった――

教室の空気がピシャリと音を立てて固まったのが分かった。

蘭の顔面から滝のような汗が流れる。

理由を知らない俺でさえ身震いがするんだから、

当然の反応かも。

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