ソーダ恋。


長い50分を終わりにするチャイムが鳴り響き、

生徒は一斉に帰る支度を始める。


「はあ〜…やっと終わった…。」


ため息混じりの伸びをして、あたしも教科書を片そうとした時


「南美っ!」

突然あたしの前に現れた、海。


あ。

心配そうにあたしを見る小春が視界の隅に映る。


「…なに?」


「あのさあっ!これ、わかん」

「海くん!」


海が教科書の問題を指差した時、
海の言葉を遮って聞こえた声に

あたしの気分が少し曇ったのがわかる。


「…紺野」


「バイト、行こっ?」


「あ、ちょっと待っ」


“待って”
そう言おうとしたんだろうけど

両手を机につき
ガタンッ、と立ち上がって
今度はあたしが海の声を遮る。


「呼んでんじゃん。早く行きなよ。」
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