学校一の王子の恋愛ゲーム+α
王子の使者
「優芽様、学園長がお呼びでございます。」
「あっそ。」
「…………………。」
カツカツとあいつの歩く足音が、ぱたぱたとあたしの足音に被っている。
さて、あいつとは?
ご説明いたしましょう。
あいつとは、恭弥の使者であります。
唯一、彼が心を許した(のかどうかは知らないが)人なのである。
3年、石川龍牙。
はっきり言うと、軽く執事っぽい。
頭はキレる。はず。
「誰に話しかけているのですか。」
「黙ってなさい。」
影が薄いあんたのために説明してやってるのですよ。
まったく。
龍牙が普段あたしのとこに来るときは、たいてい恭弥に呼ばれるときである。
しかしあたしは、そう簡単に奴のところへは行きたくないのだ。
というわけで、本日も逃げているのである。