草食系鈍感彼氏の射止め方
「だって!
こんな探してもないんやったらもう見つかるわけないやんか!」
アタシはネックレスが見つからなかった苛立ちを彼にぶつけた。
佐々布さんは少し首を傾げながらアタシに言った。
「…諦めるんですか?」
「見つからへんもん…。
しゃーないやん…」
アタシは川から上がってずぶぬれになった足元を見つめながら言う。
泣きそうになるのを我慢して。
「足…
ずぶぬれですよ、
そのままじゃ風邪ひきます」
佐々布さんは自分の足元も濡れているというのにアタシを気にかけて声をかけた。
「ちょっと待ってくださいね」
彼は川岸に置いていたカバンからハンカチを出してアタシに差し出し
「これで足を拭いてください」
と言った。