草食系鈍感彼氏の射止め方
「…アタシのこと好きでいてくれてありがとう」
アタシは精一杯の笑顔で言う。
「うん…」
最後に響の笑顔をこころに刻みアタシは彼に背を向けた。
試合…
もう観戦はやめておこう。
…帰ろう。
誰が泣くもんか。
でもアタシってなんでいっつもこんななんだろう。
寒くてアタシは無意識にポケットに手を入れた。
何かが指先に触れた。
「あ…」
取り出すとそれは佐々布さんに返しそびれたハンカチだった。
見た途端になぜか緊張の糸がほどけて涙がこぼれてきた。
どうしてだろう。