草食系鈍感彼氏の射止め方
え…?
今なんて言った?
アタシはそのまま硬直して動けなかった。
「…うるさいっ!!
放っとけ!!」
そして下を向いたままそう答えるのがやっとだった。
「僕は佐々布 遼と言います」
でも彼はそんなアタシの言葉を気にすることもなく名前を告げる。
そんなの、
昨夜かかってきた電話で知ってるもん。
それにそんなことどうだっていいでしょうが。
アタシはアンタの名前なんか聞いてないし。
それにしても。
多分、
まわりから見たら変な光景だっただろう。
駅の改札で2人膝を突き合わせてしゃがんで。