草食系鈍感彼氏の射止め方
でも
可愛い名前って…。
佐々布さんは少しずれたメガネを左手の中指で押し上げてにっこり笑った。
アタシはそんなこと言われたのが初めてでどうしていいかわからなくて…。
少しして
先に佐々布さんが立ち上がりいつまでも座りこんだままのアタシにそっと手を差し伸べた。
「どうぞ?」
アタシはハッとしてその手を振りきりスカートを叩きながら自力で立ち上がった。
…と、とにかくこれで携帯はアタシの元に戻ってきたし。
その場に少しでも長居したくなかったアタシは
「じゃ、失礼します」
そう言ってマフラーを巻きなおし別れようときびすを返した。