草食系鈍感彼氏の射止め方
「うめちゃん」って
呼んでくれることも今では心地いい。
アタシはそのままその梅林の中にある1本に近づいていった。
枝のところに記してあったその梅の名前。
「…紅梅」
遼ちゃんがアタシみたいな、
って言ってくれた木。
少し見上げるとそこにある梅の花は彼があのときに言っていた通りの濃いピンクの可愛い花がついていた。
その花を見ていたら胸が締め付けられるような気分になった。
梅のむせ返るような甘い香り。
情緒不安定になってる、
なんかヤバいぞ、
アタシ。
今のアタシのこころは不安だらけだ。
アタシの知らない彼を目の当たりにして。
逆瀬川陽花が現れて。
美月までそんな女が現れたなら止めろって言う。