草食系鈍感彼氏の射止め方


アタシはそれを無視して立ったまま話を続けた。

「この間は…
あんなこと言ってごめんなさい」


ここに来るまでにいろんな台詞を考えて頭ん中でシチュエーションを描いてきたはずなのに。

肝心の今になってそれも真っ白で何も思い浮かばない。

冷静に。

落ち着かなければ。

そして次の言葉を。


彼女はそんなアタシのことに気づいてるのか気づいていないのか

「あんなこと…?」

そう聞き返した。


早く終わらせてこの場から立ち去りたい。

そして力を入れて両手をぐっと握り締める。

「アタシ、
こないだあんなエラソーなこと言ったけれど。
本当は…えっと。
だから…その、つまり、
二度とアナタの前に現れませんから。
だから安心して…
あーっと、そんな感じで…」


うわ、もう日本語めちゃくちゃ。


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