草食系鈍感彼氏の射止め方

…な、なんか
何言ってんだ?アタシ。

普通こういう場面ではもっとカッコよく台詞決めて颯爽と去っていくっていうイメージなのに。

うつむいて握り締めた手を見つめる。

情けない。

それにホラ、
彼女意味がわからないみたいで困った顔してる。

どうしよう…。


アタシはさっきの台詞の最後の部分を繰り返した。

「二度と現れませんから…えっと。
安心して…そのっ…ください!」

逆瀬川 陽花はやっぱり不思議そうな顔をしていたけれど。

アタシはもうそれ以上言うともっと言葉がおかしくなりそうで
それになんて言っていいのかわからなくて…
その場から駆け出した。


「ちょっと待って!」


彼女のそんな声が聞こえたけれどアタシは無視してそのまま走った。


言えた…。
てかあれは言えたのか?

とりあえずは。
終わった。
…と思う。

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