草食系鈍感彼氏の射止め方


それでも…。





------------

土曜日。

夕闇の路地に立ち遼ちゃんの家の前で大きく深呼吸した。

そして呼び鈴を鳴らす。

「あ、いらっしゃい」

彼は玄関を開けていつものようにアタシを迎え入れてくれた。



アタシは思い切って一気に言った。

「アタシ、今夜は帰らない。
家にも美月のとこに泊まるってウソついてきた」

遼ちゃんはちょっと驚いた顔をする。

「そんなの…。
ダメですよ、
ちゃんと帰らないと」


「でも!今日だけやから!
今夜だけ!
だってもうそう言って出てきたし今更帰れへんもん…」


ついアタシは涙声になる。
最初から泣くな!
情けない!

< 294 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop