草食系鈍感彼氏の射止め方
それでも…。
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土曜日。
夕闇の路地に立ち遼ちゃんの家の前で大きく深呼吸した。
そして呼び鈴を鳴らす。
「あ、いらっしゃい」
彼は玄関を開けていつものようにアタシを迎え入れてくれた。
アタシは思い切って一気に言った。
「アタシ、今夜は帰らない。
家にも美月のとこに泊まるってウソついてきた」
遼ちゃんはちょっと驚いた顔をする。
「そんなの…。
ダメですよ、
ちゃんと帰らないと」
「でも!今日だけやから!
今夜だけ!
だってもうそう言って出てきたし今更帰れへんもん…」
ついアタシは涙声になる。
最初から泣くな!
情けない!